「いい保育」は何で決まる? ― 世界の研究が使う”2つのものさし”(構造の質・プロセスの質)をやさしく解説
「いい保育」は何で決まる? ― 世界の研究が使う”2つのものさし”(構造の質・プロセスの質)をやさしく解説
仙台のみなさん、こんにちは。Family Sitter です。
保育園やベビーシッターの見学・面談で、「いったい、どこを見ればいいんだろう?」と迷ったことはありませんか。建物のきれいさ、先生の資格、園庭の広さ…。どれも大事な気がするけれど、「結局、何がそろっていれば”いい保育”なの?」と聞かれると、答えに困ってしまう方が多いのではないでしょうか。
実はこの問いは、世界中の研究者や国の機関が、長年かけて真剣に考えてきたテーマです。そして保育の研究の世界には、「いい保育」を考えるための”ものさし”がすでに用意されています。今日はその代表である「構造の質」と「プロセスの質」という2つのものさしを、仙台のパパママの預け先えらびに引きつけて、やさしくご紹介します。
「いい保育園・いいシッター」の答えは、直感だけじゃなかった
「見学に行ったら、なんとなく雰囲気がよくて決めました」という声は、とてもよく聞きます。この”なんとなく”は、決してあてずっぽうではありません。ただ、直感だけに頼ると、「きれいな建物」「立派なパンフレット」といった目に入りやすいものに、印象が引っぱられてしまうことも。
OECD(経済協力開発機構)という国際機関は、幼児教育・保育に関する「Starting Strong(人生の始まりこそ力強く)」という報告書のシリーズの中で、保育の質をいくつかの側面に分けて整理してきました。国内でも、この整理をふまえて保育の質が議論されています。その中でも、パパママが知っておくと役に立つのが、次の2つです。
ものさし①「構造の質」― 人数・広さ・資格という”土台”
ひとつめのものさしは「構造の質」と呼ばれるものです。むずかしそうな名前ですが、中身はとても具体的で、たとえばこんな項目です。
大人1人がみる子どもの人数(配置基準)、1つのグループの子どもの人数、お部屋の広さや環境、保育者の資格や研修の体制、働く人の労働環境。こうした、数字や仕組みで確かめられる”土台”の部分が「構造の質」です。
この質のいいところは、比較的”見えやすい”こと。見学のときに質問すれば教えてもらえますし、パンフレットや自治体の資料でも確認できます。日本では、認可保育所の人員配置や面積に国の基準があり、ベビーシッターにも都道府県への届出制度や研修があります。つまり「構造の質」は、制度によって最低ラインが支えられている部分ともいえます。
ものさし②「プロセスの質」― 毎日のやりとりという”中身”
ふたつめのものさしが、今日いちばんお伝えしたい「プロセスの質」です。これは、保育者と子どもの毎日のやりとりの質のこと。具体的には、こんな場面に表れます。
泣いている子に、どんなふうに応えるか。子どもの「見て見て!」に、どんなまなざしを返すか。遊びをどう見守り、どう広げるか。子ども同士のけんかに、どう寄り添うか。
数字にはしにくいけれど、子どもがまさに毎日体験している”中身”の部分です。そして国内外の研究では、子どもの育ちに直接つながるのはこの「プロセスの質」だと考えられ、注目が集まっています。厚生労働省の検討会に提出された東京大学の研究者の資料でも、保育の質の中心として「保育者と子どもの関わり」が位置づけられています。
考えてみれば、当たり前のことかもしれません。子どもにとっての保育園やシッターとの時間は、「配置基準」や「面積」ではなく、「今日、先生がどんなふうに笑いかけてくれたか」でできているからです。
日本でも、国をあげて「保育の質」が話し合われました
「保育の質」は、海外だけの話ではありません。厚生労働省は2018年から約2年間、「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」を開き、2020年6月に議論をとりまとめました。そこで軸になったのが、「子どもを中心に保育の実践を考える」という視点です。
また、東京大学の発達保育実践政策学センター(CEDEP)は、全国の保育・幼児教育施設を対象にした大規模調査を行い、「構造の質」(保育者の労働環境など)と「プロセスの質」(保育環境の構成や保育者と子どもの関わり)の関係を分析しています。さらに、OECDが行う保育者への国際調査「TALIS Starting Strong」にも日本は参加しており、世界の中で日本の保育を見つめ直す動きが続いています。
「いい保育とは何か」は、いま日本でも世界でも、現在進行形で研究されている大きなテーマなのです。
2つの質は、支え合っています
ここまで読むと、「じゃあ大事なのはプロセスの質だけ?」と思われるかもしれません。でも、2つのものさしは対立するものではなく、支え合う関係にあります。
大人1人がみる子どもの人数が少なければ、ひとりひとりの気持ちに向き合う余裕が生まれやすくなります。研修の機会があれば、関わり方の引き出しが増えます。保育者が安心して働ける環境は、子どもへの穏やかな関わりにつながります。つまり、”土台”(構造の質)が整うほど、”中身”(プロセスの質)も豊かになりやすい、という関係です。
だからこそ、預け先を考えるときには、「体制や数字」と「やりとりの様子」の両方をセットで見ることが大切になります。
見学・預け先えらびで、パパママができること
では、専門家ではないパパママが、「プロセスの質」をどうやって感じ取ればいいのでしょうか。見学や面談でできる、小さな観察ポイントをいくつかご紹介します。
まず、保育者から子どもへの声かけに耳をすませてみてください。指示や注意ばかりでなく、子どもの気持ちに応える言葉(「たのしいね」「そうだったんだね」)が聞こえてくるでしょうか。次に、遊んでいる子どもたちの表情。夢中になって遊び込んでいる姿は、やりとりが豊かな場のサインだといわれます。
そして、「構造の質」については遠慮なく質問を。大人1人がみる人数、研修の内容、緊急時の体制。丁寧に説明してくれるかどうか自体が、その事業者の姿勢を映す鏡になります。最後に、その日の子どもの様子をどんなふうに保護者へ伝えてくれるのかも、ぜひ聞いてみてください。日々の報告は、家庭と保育をつなぐ大切なやりとりです。
なお、こうした観察はあくまで”ヒント”です。お子さまの発達や集団生活について気になることがある場合は、かかりつけ医や仙台市の相談窓口など、専門家への相談もあわせてご検討くださいね。
Family Sitter が大切にしている「2つの質」
Family Sitter は仙台で、ご自宅にうかがう1対1の保育を行っています。1対1という形は、いわば「プロセスの質」をまっすぐ追いかけられるかたちです。大人1人がみるのはお子さま1人。泣いたとき、笑ったとき、「見て見て!」のとき、その子のペースに合わせて応え方を選ぶことができます。
同時に、”土台”も大切にしています。シッターの面談・研修、保育中の安全のルール、そして保育のあとにはその日の様子をLINEでご報告。「やりとりの中身」と「それを支える仕組み」の両方で、仙台のご家庭に安心をお届けしたいと考えています。
預け先えらびで迷ったら、今日の”2つのものさし”を思い出してみてください。そして、Family Sitter のこともどうぞ見比べる選択肢のひとつに。見学や面談の場で、体制のこともやりとりのことも、なんでもご質問ください。
参考にした情報
- 厚生労働省「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」第1回資料(野澤祥子・東京大学CEDEP「保育の質とその確保・向上のために」)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11921000-Kodomokateikyoku-Soumuka/0000207473.pdf
- 厚生労働省「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」(2018年5月〜2020年6月・議論のとりまとめ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo_554389.html
- 国立教育政策研究所 幼児教育研究センター「OECD国際幼児教育・保育従事者調査(TALIS Starting Strong)」
https://www.nier.go.jp/youji_kyouiku_kenkyuu_center/oecd.html
- 東京大学大学院教育学研究科附属 発達保育実践政策学センター(CEDEP)「保育の質の保障・向上への取り組みに関する全国大規模調査」
※本コラムは子育てに関する一般的な情報のご紹介です。お子さまの発達について気になることがあるときは、かかりつけ医や自治体の相談窓口など、専門家にご相談ください。
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