「うまくできなかった」子育てほど、活きる仕事です ― 仙台でシッターを始める方へ
「うまくできなかった」子育てほど、活きる仕事です ― 仙台でシッターを始める方へ
ざっくりいうと
- シッターの応募をためらう理由で多いのが、「立派に子育てできた自信がない」というお気持ちです
- でも1対1のお仕事で頼りにされるのは、うまくいった話よりも「うまくいかなかった夜」を知っていること
- 寝かしつけに苦戦した経験は「待てる力」に、強く言ってしまった記憶は「ママ・パパを責めないまなざし」になります
- 足りない部分(衛生・安全・記録など)は、研修とフォロー体制であとから整えられます
- 仙台・宮城には、子育て経験を仕事につなげるための公的な研修の入り口もあります
「立派に育てられた人」でないと、できない仕事でしょうか
Family Sitter 仙台に寄せられるご相談のなかで、いちばん多いためらいのお言葉があります。
「子どもは好きなんです。でも、自分の子育てが立派だったかというと、まったく自信がなくて」
夜中に何度も起こされて、朝からイライラしてしまった日。
つい強い言い方をして、寝顔を見ながらこっそり落ち込んだ夜。
まわりに頼れず、ひとりで抱えこんだ時期。
そういう記憶があるほど、「私が人さまのお子さまを預かるなんて」と足が止まってしまう。とても真面目な方ほど、そう考えていらっしゃるように感じます。
けれど、実際の現場で頼りにされているのは、まさにそういう方々です。
寝かしつけに苦戦した夜は、「待てる力」になります
抱っこしても、歌っても、背中をトントンしても寝ない。「もう無理かもしれない」と思いながら、暗い部屋で時計を見ていた時間。
あの経験を持っている方は、初めて伺ったお家でお子さまが泣いても、慌てません。
「そういうこともある」と知っているからです。
泣き声を止めようと焦る大人より、眠りにつくまでの時間を静かに待てる大人のほうが、お子さまは早く落ち着きます。これは知識としてではなく、体で覚えたことでないと、なかなかできないことです。
苦戦した夜の数だけ、待つことに慣れている。それが、シッターの現場ではそのまま安心感になります。
つい強く言ってしまった日は、ご家庭へのまなざしになります
シッターのお仕事は、お子さまだけを見ていればいい仕事ではありません。玄関先で会うママ・パパの表情も、大切な仕事の一部です。
余裕がなくて大きな声が出てしまった日を知っている方は、疲れた顔のママ・パパを見たときに、心の中で判断をしません。
「大変でしたよね」
この一言が、教科書から借りてきた言葉ではなく、ご自身の経験から出た言葉であること。ご家庭にとって、それがどれほど救いになるか。実際にお客さまから届く感謝のお声は、この一言についてのものがとても多いのです。
誰にも頼れなかった経験は、「先に声をかける力」になります
「迷惑をかけたくない」と思って、誰にも頼らずがんばってしまった時期。
その心細さを知っている方は、ご家庭に対して、先に声をかけられます。
「今日は私が見ていますので、どうぞ休んでくださいね」
「買い物でも、ひと眠りでも、お好きにお使いください」
頼っていいのだと、こちらから伝えられる。これは、頼れなかった経験がある人だからこそ持てる力です。
なぜ「失敗」のほうが役に立つのでしょう
理由は、シッターのお仕事が1対1だからです。
保育の現場では「多くの子に当てはまるやり方」が役に立ちます。けれど1対1では、その子ひとりに合う方法が必要になります。
うまくいった方法だけを持っている方は、それが通じなかったときに手が止まってしまいます。
一方で、「これがダメだった時は、次はこうしてみた」という回り道を重ねてきた方は、引き出しをたくさん持っています。
必要なのは「正解」ではなく、「引き出しの数」。
遠回りした人ほど、たくさんの道を知っています。
とはいえ、経験だけでは足りない部分もあります
正直にお伝えすると、子育て経験がそのまま全部使えるわけではありません。次のようなところは、意識して切り替えていただく必要があります。
- よそのお家のやり方を尊重する:ご自身の育て方と違っても、そのお家のルールに合わせます
- 安全と衛生の基本を確認する:誤飲・転落・アレルギー・手洗いなど、確認すべき基本があります
- 困った時にひとりで抱えない:迷ったらすぐ連絡する。これがいちばん大切な習慣です
- 記録と報告をきちんと残す:お預かり中の様子を、ご家庭に分かる形でお伝えします
ここは経験ではなく、技術の部分です。研修と先輩のフォローで、順番に身につけていけます。
経験は土台、技術はあと。その順番で大丈夫です。
学び直しの入り口も、ちゃんとあります
「もう少し体系的に学んでみたい」という方には、公的な研修の入り口もあります。
宮城県は、保育や子育て支援の仕事に必要な知識・技能を学ぶ子育て支援員研修を実施しています。全国共通の研修制度で、18歳以上(高校生を除く)であれば受講でき、受講料は無料です(当日の交通費などは自己負担)。仙台市は市として独自に受講生の募集を行っています。募集時期や対象コースは年度によって変わりますので、最新の募集要項をご確認ください。
また、ベビーシッター(訪問型保育)の分野には、公益社団法人 全国保育サービス協会(ACSA)による認定ベビーシッターの資格制度があります。所定の研修を修了したうえで認定試験を受ける流れで、研修はオンラインでの受講が中心です。
いずれも「応募の前に必ず取らなければならないもの」ではありません。Family Sitter でも、まずは働きながら学んでいただける体制を整えています。あくまで、ご自身のペースで選べる選択肢としてご紹介しておきます。
面談で、いちばん聞かせてほしいこと
応募をご検討中の方に、面談でどんなことを聞かれるのか、先にお伝えしておきます。
私たちがいちばん聞かせていただきたいのは、これです。
「いちばん、うまくいかなかった日のこと」
得意なことでも、資格でも、輝かしい経験でもありません。困り果てたあの日のことを、覚えている範囲で話していただければ十分です。
なぜそれを聞くのか。理由は3つあります。
ひとつは、その話にこそ、その方なりの工夫が必ず入っているからです。しのぎ方は人によって全部違って、そこにお人柄が出ます。
ふたつめは、困った状況を言葉にできる方は、現場でも困った時にちゃんと相談してくださるからです。これは、私たちがいちばん大切にしていることです。
みっつめは、うまくいかなかった話ができる方は、ご家庭にとって話しやすい相手だからです。ママ・パパは、完璧な人には弱音を言えません。
答えを準備してこなくて大丈夫です。「うまく言えないんですけど」と前置きしながら話してくださる方のほうが、私たちにはよく伝わります。
おわりに ― うまくいかなかった日ごと、連れてきてください
Family Sitter 仙台が探しているのは、完璧な人ではありません。
分かってくれる人です。
眠れない夜の長さを知っていて、思うようにいかない日のしんどさを知っていて、それでも子どもの寝顔を見ると少し許せてしまう。そういう方に、ご家庭のとなりに立っていただきたいと思っています。
回り道も、立派な経験です。うまくいかなかった日ごと、そのまま連れてきてください。
お話を聞かせていただくところから、いつでもお待ちしています。
参考にした情報
- 宮城県「子育て支援員研修」(受講対象・受講料などの制度のあらまし)
https://www.pref.miyagi.jp/site/kodomosougousentanokensyuukai/list1787-5223.html
- 仙台市「『子育て支援員』研修受講生を募集します」
https://www.city.sendai.jp/kodomo-shido/kurashi/kenkotofukushi/kosodate/shisaku/boshu/jukose.html
- 公益社団法人 全国保育サービス協会(ACSA)公式サイト(認定ベビーシッター・研修制度)
https://acsa.jp/
- ACSA研修ポータルサイト(ベビーシッター研修の受講形態)
※研修の募集時期・対象コース・実施方法は年度によって変わります。お申し込みの際は必ず各機関の最新の募集要項をご確認ください。
※お子さまの発達や、ご自身の心身の状態について気がかりなことがある場合は、抱えこまずに医師・保健師・臨床心理士などの専門家にご相談ください。仙台市の各区保健福祉センターでも相談を受け付けています。
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