「外遊び」がなぜ大切なのか|体・目・心と頭にうれしい3つの効果を研究から読み解く
「外遊び」がなぜ大切なのか|体・目・心と頭にうれしい3つの効果を研究から読み解く
仙台の街路樹が、いちばんきれいな緑に色づく季節になりました。
朝晩はまだ少し肌寒い日もありますが、日中はお子さまと一緒にお外で過ごすのが、いちばん気持ちのよい時期かもしれません。
子育てをしていると、「外で遊ばせたほうがいいよ」「お外で体を動かさせてあげて」と、よく耳にしますよね。なんとなく良さそうな気はするけれど、
- 1日どれくらいの時間を目安にすればいい?
- 体力以外にも、何かいいことがあるの?
- 雨の日や、忙しい日はどうすれば?
そんな問いに、文部科学省の公式指針や、海外を含む最新の研究をもとに、できるだけやさしくお答えしていきます。きょうのコラムが、明日のお散歩のちょっとした追い風になればうれしいです。
1. ざっくりいうと:外遊びには「体・目・心と頭」へのうれしい効果がある
研究を読み解いていくと、幼児期〜小学校低学年の外遊びには、大きく分けて3つのうれしい効果があることが見えてきます。
- 体 ― 体力・運動能力・睡眠リズムが整いやすい
- 目 ― 近視になりにくい
- 心と頭 ― 集中力・自己コントロール・感情調整など、いわゆる「実行機能」の発達にプラス
それぞれ、どんな研究から分かっているのかを、順番にのぞいていきましょう。
2. 体への効果 ― 文部科学省「1日 60 分」のめやす
まずは、いちばんイメージしやすい「体」への効果から。
日本では、文部科学省が 「幼児期運動指針」 という公式の手引きをまとめていて、幼児について次のように書かれています。
毎日、合計 60 分以上、楽しく体を動かすことを目安に
この「60分」は、体育や習いごとの時間だけでなく、
- 公園や園庭での外遊び
- お散歩や買い物の道のり
- お手伝いで体を動かす時間
- ご家庭での体を動かす遊び
など、「1日の生活全体で合計 60 分」 という考え方です。一気に走り回らせないといけない、という意味ではありません。
文部科学省の調査によると、外遊びの時間が長い幼児ほど、走る・跳ぶ・投げるといった基本的な動きを身につけている傾向があると報告されています。一方で、約 4 割の幼児は外遊びの時間が 1日 60 分未満になっているそうです。スマートフォン・ゲーム・習いごとの増加など、社会の変化を踏まえると、意識して時間を確保してあげる必要が出てきている、と言えるかもしれません。
▼ ざっくりポイント
「合計 60 分」を、登園・降園のお散歩+公園 20 分+お風呂までの庭遊び……のように細切れで足し算してOKです。「ちょこちょこ動いた時間の合計」で考えると、ぐっと気が楽になります。
スポーツ庁の Web 広報でも、6歳までの運動習慣が、その後の運動能力の伸びに有意に影響することが紹介されています。「いつかスポーツが好きになれるように」というよりは、「毎日のちょっとした“動く時間”を、いまから自然に積み重ねていく」イメージが近いと思います。
3. 目への効果 ― 「1日 2 時間の屋外時間」と近視のおはなし
ここ十数年で大きく注目されているのが、外遊びと近視(きんし) の関係です。
昔から「テレビばかり見ていると目が悪くなる」と言われてきましたが、近年の研究では「近くを見続けていることそのもの」より、「屋外で過ごす時間がどれくらいあるか」が、近視のなりやすさに大きく関わると分かってきました。
代表的な研究データをひとつご紹介します。
米国の縦断研究では、6〜14歳の子どもおよそ 500 人を 12 年間追いかけた結果、
屋外活動の時間が週 14 時間(1日およそ 2 時間)を超える子は、両親とも近視であっても、ほとんど外遊びをしない子より、近視の発症率が3分の1ほどに低かった
と報告されています。この内容は、日本経済新聞をはじめ複数の媒体で広く紹介されています。日本国内では、筑波大学医学医療系眼科の平岡孝浩 准教授も、子ども向けの近視予防として「1日 2 時間程度の屋外活動」を一つの目安として紹介しています。
「外光を浴びると、目の中で “眼軸長” という長さが伸びにくくなるのではないか」というメカニズム仮説も研究が進んでいます。難しいお話を一度横に置くと、要するに:
- 「太陽光のもとで過ごす時間」自体が、目の発達にとって大切なシグナル
- 屋外であれば、公園遊びでも、河川敷の散歩でも、自転車でも OK
- 1日 2 時間も連続して取れなくても、朝の通園+夕方の公園のように細切れで合計できる
「2時間」と聞くと長く感じますが、お子さまが学校・園にいる時間を含めると、もう少し近づけるご家庭も多いはずです。
▼ 気づき・ヒント
視力に不安を感じている方や、ご家族に強い近視の方がいらっしゃる場合は、自己判断せず眼科の専門医にもご相談くださいね。本コラムは予防に関する一般的な情報のご紹介です。
4. 心と頭への効果 ― 「実行機能」が育つ時間
体・目の話に続いて、ここ数年で大きく研究が進んでいるのが、外遊びと「実行機能」 との関係です。
実行機能(じっこうきのう、Executive Function)は、ざっくりいうと「自分の心と頭を、目の前のやりたいことに向けてうまく使う力」のこと。たとえば、
- ワクワクする気持ちを少しがまんして、順番を待つ
- いま遊んでいることを、声をかけられたらいったん切り上げる
- やり方を変えながら、ねばり強く工夫する
- 「やりたい!」「悲しい!」といった気持ちと、上手につきあう
このあたりの力を、まとめて「実行機能」と呼びます。
2022 年の研究(『Preschoolers’ executive functions following indoor and outdoor free play』, PubMed 掲載)では、就学前の子どもたちに「室内自由遊び 60 分」と「屋外自由遊び 60 分」をそれぞれ別の日に体験してもらい、そのあとの教室での集中度や、注意のコントロールを観察しました。結果は、
屋外で自由に遊んだあとのほうが、室内で遊んだあとよりも、集中して話を聞ける時間が長く、注意のコントロールも高かった
というものでした。
さらに、2024 年に発表された「Risky Outdoor Play and Adventure Education in Nature for Child and Adolescent Wellbeing」というスコーピングレビュー(複数の研究をまとめて整理した論文)では、「ちょっとだけリスクのある外遊び」(高いところに登る、不安定な足場でバランスをとる、新しい場所を探検するなど)が、
- リスクを見積もる力
- 感情を立て直す力
- 問題解決のスキル
- 自己効力感(「自分ならできそう」という感覚)
を育てることと関連していると整理されています。
「ちょっとリスクのある遊び」というと、けがが心配になるかもしれません。でも、ここで大切なのは「無謀」ではなく「子ども自身が、その日その日の自分の力量と相談しながら、ちょうどよい挑戦を選ぶ」という感覚です。
▼ ざっくりポイント
外遊びは、ただ体を動かす時間ではなく、「考える」「気持ちを整える」「自分で選ぶ」を、自然に練習する時間にもなっています。室内では再現しにくい、空気・光・距離感・予測できなさが、その学びを後押ししてくれます。
5. 雨の日・お忙しい日は、どうすれば?
ここまで読んでくださって、「とはいえ、毎日 60 分は難しいし、1日 2 時間なんて……」と感じた方もいらっしゃると思います。
外遊びは大切ですが、外遊び“至上主義”になってしまうと、それはそれで、ご家族の生活が回らなくなってしまいます。研究も、文科省の指針も、
「できないと将来困る」ではなく、「できる範囲で、できるだけ習慣にしていく」
というスタンスでまとめられています。
ご家庭で取り入れやすい工夫をいくつかご紹介します。
- 平日は「お散歩+ちょこっと公園」:朝夕の通園・通学のお迎えのときに、いつもより少しだけ遠回りしてみる。
- 休日に「すこし長めの外時間」:午前中の早い時間や夕方の涼しい時間など、お子さまと大人の体力に合わせて。
- 雨の日は「窓辺と室内運動」:明るい窓辺で過ごす、室内で体を動かせる遊び(おうちトンネル・バランス遊びなど)で代わりに。
- 頼れる手を、ためらわずに:パパママだけでなく、祖父母・園・地域・シッターさんなど、頼れる手を組み合わせて。
仙台市内・宮城エリアにも、お子さまと一緒に外でのんびり過ごせる公園・広場・遊歩道がたくさんあります。週末に「いつもと違う公園」をひとつ開拓してみるのも、家族での楽しい時間になりますね。
6. Family Sitter からの、ささやかな提案
私たち Family Sitter のシッターさんも、「お預かりの時間に、できるだけお外の時間を作ってあげたい」と感じている方が多くいらっしゃいます。お預かり前後のご相談の中で、
- 近所のお散歩コース
- お子さまが好きな公園
- お外に出るときに気をつけてほしいこと(暑さ・水分・日焼け止め・帽子など)
- お母さま・お父さまの「ここまではOK/これはちょっと心配」というライン
を、できるだけ丁寧に共有いただけると、シッターさんも安心して、お子さまにとってちょうどよい外時間をデザインしやすくなります。
「忙しい平日のお迎え時間だけ、外遊び付きでお願いしたい」「下のお子さまを連れての公園遊び、ひとりだと不安なので一緒に」など、お外と組み合わせたご相談も歓迎です。仙台・宮城エリアの初夏の自然を、ぜひお子さま・ご家族・シッターさんと一緒に味わってみてください。
▼ ざっくりポイント
「外遊び=親が頑張るもの」ではなく、「子どもの育ちを支えるチーム」で時間を作っていくもの。Family Sitter も、その「チーム」の小さな一員でありたいと思っています。
ご利用に関する大切なお願い(必ずお読みください)
本コラムは、健康なお子さまの「ふだんの外遊び」を支える視点でまとめています。Family Sitter のシッター訪問サービスは、お子さま・同居されているご家族に 発熱・下痢・嘔吐などの体調不良の症状がある場合、お伺いすることができません。 これは、シッター自身の感染予防はもちろん、他のご家庭・他のお子さまへの感染を広げないための、Family Sitter の運営ルールです。
- ご利用予定日に上記の症状が出てしまった場合は、できる限り早めにご連絡ください。日程の調整やキャンセルのご案内をいたします。
- 病児・病後児のお預かりが必要な場合は、医療機関と連携した「病児保育」サービスや、お住まいの自治体(仙台市・宮城エリア)のファミリー・サポート制度などをご検討ください。
- 「念のため受診を…」と迷うときは、ご無理をなさらず、まずはかかりつけの小児科にご相談ください。
ご家族みんなが安心して過ごせるサービスでありつづけるために、ご理解・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
7. 今日からできる、3つの小さな一歩
最後に、忙しい日々のなかでも取り入れやすい「3つの小さな一歩」をご紹介します。
- 朝・夕の 5 分を「お外時間」に格上げする
いつものお見送り・お迎えに、5 分だけ寄り道。お花や雲や、街路樹の色の変化をお子さまと一緒に眺めてみる。
- 週に 1 回、「すこし長めの外時間」を予定に入れる
土曜・日曜のどちらかを、「30〜60 分の外時間」とゆるく決めておく。完璧にこなせない週があっても OK。
- 「外で何が楽しかった?」を寝る前に聞いてみる
外で過ごした時間のことを、ことばにして思い出すと、子ども自身が「外って楽しい場所だ」と感じやすくなります。
子どもの体・目・心と頭は、毎日の小さな選択の積み重ねで、ゆっくり育っていきます。今日からの一歩が、5年後、10年後、20年後のお子さまの「動ける体」「健やかな目」「自分の気持ちと付き合う力」を、そっと支えていきます。
参考にした情報
- 文部科学省「幼児期運動指針」公式ページ
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/undousisin/1319771.
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