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絵本の読み聞かせは、”ことば”を超えて ― 仙台・東北大学の約3万6千組データ解析が示した、5つの育ちへのいい影響

絵本の読み聞かせは、"ことば"を超えて ― 仙台・東北大学の約3万6千組データ解析が示した、5つの育ちへのいい影響

絵本の読み聞かせは、”ことば”を超えて ― 仙台・東北大学の約3万6千組データ解析が示した、5つの育ちへのいい影響

「絵本の読み聞かせが、ことばの発達にいい」――これは、多くのパパママが一度は耳にしたことのあるお話だと思います。では、読み聞かせの力は”ことば”だけなのでしょうか。

実は今年(2026年)1月、私たちの住む仙台にある東北大学から、この問いに答えるうれしい研究成果が発表されました。約3万6千組という大規模な親子データの解析から、読み聞かせは、ことばだけでなく、運動や人との関わりまで含めた「5つの育ちすべて」と良い関係にあることがわかったのです。

今日は土曜日。少しゆったりした気持ちで読める研究コラムとして、この新しい研究を、子育て中のパパママの目線でやさしくご紹介します。

仙台・東北大学から届いた、うれしい研究成果

この研究を行ったのは、東北大学大学院医学系研究科の研究グループ(小児病態学分野の中村春彦医師、発達環境医学分野の大田千晴教授ら)です。研究成果は2026年1月8日、小児科学分野の学術誌「Pediatric Research」に掲載され、翌9日に東北大学からプレスリリースとして発表されました。

使われたデータは、環境省が2010年度から続けている全国調査「エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)」のもの。全国の約10万人が参加する、日本でも指折りの大規模な子ども調査です。その中から、必要な情報がそろっている36,866組の母子のデータが解析されました。

調べたのは、親が答えた「絵本の読み聞かせの頻度」と、3歳時点の発達の進み具合との関係です。発達の指標には、世界中で使われている「ASQ-3」という質問票が使われました。ASQ-3は、次の5つの領域を見るものです。

  • ことば(コミュニケーション)
  • 走る・跳ぶなどの大きな体の動き(粗大運動)
  • 手先を使う細かな動き(微細運動)
  • 考えて工夫する力(問題解決)
  • 人との関わりや生活習慣(個人-社会)

わかったこと①:5つの領域すべてで、発達スコアが高かった

解析の結果、読み聞かせの頻度が高いほど、3歳時点の発達スコアが5つの領域すべてで高いことがわかりました。

「絵本なのだから、ことばに効くのは分かる。でも、走ったり跳んだり、手先の動きまで?」と意外に感じるかもしれません。これまでの研究は主に言語への影響を調べたものが多く、運動や社会性まで含めた広い範囲の発達との関係を、これほど大きなデータで確かめたのが、この研究の新しいところです。

とくにことば(コミュニケーション)の領域では、読み聞かせを「頻繁に行う(週5回以上)」グループが、「ほとんどない」グループと比べて大幅に高いスコアでした。

ここで大事なのは、この関連が「読み聞かせをする家庭は、そもそも教育熱心だからでは?」という見方だけでは説明しきれない、という点です。研究チームは、親の学歴や世帯収入、子どもと一緒に遊ぶ時間、テレビやスマホなどの視聴時間といった影響を統計的に取り除いて分析しました。それでも、読み聞かせと発達の良い関係は残ったのです。読み聞かせという営みそのものが、子どもの育ちにプラスに働いている可能性を示す結果といえます。

わかったこと②:発達がゆっくりな子にも、「続けること」が力になる

もうひとつ、この研究には心強い発見があります。

1歳時点の発達スコアが基準を下回り、発達の遅れの可能性が疑われた子どもたちに注目した分析では、その後も高い頻度で読み聞かせを続けていたグループは、頻度が低かったグループに比べて、3歳時点の発達スコアがはっきり高い結果でした。

つまり読み聞かせは、発達がゆっくりなお子さんにとっても、おうちでできる関わりのひとつとして期待できる、ということです。「今日から家庭で始められることがある」というのは、パパママにとって大きな希望ではないでしょうか。

なお、ここでいう「発達の遅れの可能性」は質問票によるめやすであって、診断ではありません。お子さまの発達について気になることがあるときは、自己判断で抱え込まず、かかりつけの小児科医や、仙台市の各区役所・総合支所の家庭健康課、宮城県・仙台市の発達相談窓口など、専門家に相談してくださいね。

絵本を聞いている子の頭の中では、何が起きている?

「どうして絵本に、そんな力があるの?」――そのヒントになる海外の研究もあります。

米国の小児科医ハットン氏らが2015年に発表した研究では、3〜5歳の子どもたちに物語の朗読を聞いてもらいながら、脳の働きを画像で調べました。すると、家庭でよく読み聞かせをしてもらっている子ほど、お話を聞きながら頭の中で場面をイメージしたり、物語の意味を理解したりする脳の部分が、活発に働いていたのです。この関係は、家庭の収入の影響を考慮しても見られました。

絵本の時間は、ただ耳から言葉が入る時間ではありません。ひざの上のぬくもり、ページをめくる手の動き、「これなあに?」「わんわんだね」という声のやりとり、頭の中でお話の世界を思い描くこと――そうした体験がまるごと重なった、親子の相互作用の時間です。だからこそ、ことばに限らない幅広い育ちと結びつくのかもしれません。

また、東北大学の研究では、読み聞かせの頻度が高い家庭ほど、子どものテレビ・DVDの視聴時間や、親が子どものそばでスマホを操作する時間が短い傾向も確認されました。絵本の時間が、親子でスクリーンから少し離れる時間にもなっている、というわけです。

「何回読めたか」より、大切にしたいこと

こうした研究を知ると、「じゃあ毎日たくさん読まなくちゃ」と肩に力が入ってしまうかもしれません。でも、私たちがこの研究から受け取りたいのは、むしろ逆のメッセージです。

読み聞かせに、特別な教材も、上手な朗読も、長い時間もいりません。絵本が1冊あれば、今日から始められます。研究が示したのは頻度との関連ですが、それは「完璧な読み聞かせを毎日」という意味ではなく、細く長く、暮らしの中に絵本の時間があること、と受け止めるのが自然だと思います。

今日からできる、3つの小さな一歩をご提案します。

  1. 寝る前の5分、1冊だけ。 短くても立派な読み聞かせです。夏の夜、涼しいお部屋で1冊読んだら、そのままおやすみなさい。
  2. 「もう1回!」は大歓迎。 同じ絵本の繰り返しを求めるのは、子どもが安心して学びを深めているサイン。「またこの本?」と思っても、ぜひ付き合ってあげてください。
  3. 図書館で”今週の1冊”選び。 仙台市図書館は貸出無料で、市内に複数の館があります。お子さんが自分で選んだ1冊は、それだけで特別な絵本になります。

Family Sitter の絵本時間

私たちFamily Sitterのシッターも、お預かりの時間に絵本をよく開きます。

シッターの良さは、1対1でお子さまのペースにじっくり付き合えること。「もう1回!」が続いても、途中で「これなあに?」が始まっても、急かさずに応えられます。パパママがお仕事や用事の間も、お子さまの毎日に、ひざの上のあたたかい絵本時間を絶やさない――そんなお手伝いができたらうれしいです。

お預かり時に読んでほしい絵本のリクエストも、いつでもお声がけください。

参考にした情報

  • 東北大学 プレスリリース(2026年1月9日)「絵本の読み聞かせが子どもの発達全般に好影響を与えることを解明-エコチル調査のビッグデータ解析より-」 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/01/press20260109-04-Storybook.html
  • 東北大学医療系メディア〈LIFE〉NEWSROOM 同プレスリリース https://www.life.med.tohoku.ac.jp/newsroom/press/37876/
  • Nakamura H, Suzuki T, Kanamori K, Ota C, et al. “Impact of Shared Storybook Reading on Child Development: The Japan Environment and Children’s Study” Pediatric Research (2026) https://doi.org/10.1038/s41390-025-04721-7
  • Hutton JS, et al. “Home Reading Environment and Brain Activation in Preschool Children Listening to Stories” Pediatrics 136(3): 466-478 (2015)

※本コラムは研究の紹介であり、個々のお子さまの発達についての判断に代わるものではありません。気になることがあるときは、小児科医などの専門家にご相談ください。

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