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「また、けんか!」は育ちのサイン ― きょうだい関係と社会性を、研究からやさしく読み解く

「また、けんか!」は育ちのサイン ― きょうだい関係と社会性を、研究からやさしく読み解く

「また、けんか!」は育ちのサイン ― きょうだい関係と社会性を、研究からやさしく読み解く

おもちゃの取り合い、順番争い、「お姉ちゃんばっかりずるい!」の大合唱。きょうだいのいるご家庭では、一日に何度も”仲裁係”を務めているパパママも多いのではないでしょうか。もうすぐ夏休み。きょうだいが顔を合わせる時間はさらに長くなり、「またけんか…」とため息の回数も増える季節です。

でも実は、発達心理学の研究では、きょうだいとのやりとり――けんかも含めて――が、子どもの社会性や「相手の気持ちを推しはかる力」を育てる大切な時間だと、くり返し報告されてきました。今日はその研究を、仙台のパパママに向けてやさしくご紹介します。ひとりっ子のご家庭にも大切なヒントがありますので、ぜひ最後までお付き合いください。

きょうだいは、人生ではじめての”小さな社会”

きょうだい研究の第一人者として知られる英国の発達心理学者ジュディ・ダン博士は、きょうだい関係を「最初の社会」と表現しました。子どもが初めて、自分の持ち物を守ろうとしたり、自分の言い分を主張したり、交渉して折り合いをつけたりするのは、多くの場合きょうだいとのあいだだからです。

きょうだいのやりとりが特別なのは、「対等で、遠慮がない」こと。大人は子どもに合わせて手加減しますし、お友だちとは「嫌われたくない」という気持ちがはたらきます。ところがきょうだいは、いい意味で本音のぶつかり合い。だからこそ、うれしい・くやしい・ゆずれない・仲直りしたい、といった濃い感情のやりとりが毎日くり返され、それがそのまま社会性のレッスンになるのです。

「年上のきょうだいがいる子」の研究でわかったこと ― 心の理論のおはなし

発達心理学には「心の理論」という言葉があります。むずかしく聞こえますが、ざっくりいうと「相手には相手の気持ちや考えがある、とわかる力」のこと。この力は、お友だちづくりや思いやりの土台になるといわれ、多くの子で4歳ごろから少しずつ育っていきます。

この「心の理論」ときょうだいの関係を調べた研究があります。パーナー博士らが1994年に発表した研究では、3〜4歳の子どもを調べたところ、きょうだいの人数が多い子ほど「相手が自分と違う思い込みをしている」ことを理解する課題の成績がよい傾向が見られました。

さらに、ラフマン博士とパーナー博士らが1998年に発表した研究では、イギリスと日本の子ども合わせて444人分のデータを分析。すると、「年上のきょうだい」の数が多い子ほど、この課題を通過しやすいという結果になりました。年下のきょうだいでは同じ効果が見られなかったことから、お兄ちゃん・お姉ちゃんとの、ごっこ遊びや「気持ちについてのおしゃべり」が、下の子の心の育ちを後押ししているのではないか、と考えられています。

日本の子どもも対象に含まれた研究だという点も、私たちには心強いところです。

けんかは”社会性のレッスン”でもある

「やりとりが大事なのはわかるけど、うちのはやりとりじゃなくて、けんかばかり…」という声が聞こえてきそうです。

でも、けんかそのものにも、育ちの種がつまっています。ダン博士らのきょうだい研究では、けんかや言い合いの場面こそ、子どもが「相手には相手の言い分がある」と気づいたり、自分の気持ちを言葉で説明したり、折り合いのつけ方を試したりする機会になることが示されてきました。ぶつかって、気まずくなって、それでも同じ屋根の下だから仲直りする。この「対立から修復まで」をまるごと体験できるのは、きょうだいならではです。

ポイントは、大人の関わり方。危険がない小さないざこざなら、すぐに”裁判官”にならず、ひと呼吸おいて見守ってみる。介入するときも「どっちが悪いか」を裁くより、「貸したくなかったんだね」「使いたかったんだね」と、両方の気持ちを言葉にして橋渡しする。そして自分たちで仲直りできたら、「けんかしたのに、自分たちで解決できたね」とそこを認める。こうした関わりが、けんかを”気持ちの立て直し”の練習に変えていきます。

なお、かみつく・たたくなど体を傷つける行動は、すぐに止めて大丈夫です。「見守る」は「放っておく」とは違います。

ひとりっ子のパパママへ ― 大切なのは”きょうだいの有無”ではありません

国立社会保障・人口問題研究所の「第16回出生動向基本調査」(2021年)によると、結婚から15〜19年たった夫婦の子どもの数は平均1.90人と過去最低で、お子さんが1人のご家庭は19.7%にのぼります。ひとりっ子は、いまやとても身近な家族のかたちです。

「きょうだいがいないと社会性が育たないの?」と心配になった方、どうかご安心ください。研究が示しているのは、あくまで「きょうだいとのやりとりが、心の育ちを後押しする経路のひとつになる」ということ。その後の研究では、ひとりっ子でも、親子の会話やごっこ遊び、お友だち・いとことの遊びを通じて、心の理論は十分に育っていくことが報告されています。

カギになるのは、「うれしかったね」「くやしかったんだね」といった、気持ちについてのおしゃべり。心にふれるやりとりの質こそが、いちばんの栄養だと考えられています。これは、きょうだいがいるご家庭にとっても同じです。

夏休み前に。きょうだいげんかとの、ちょうどいい付き合い方

長いお休みは、けんかも増えますが、その分「対立から仲直りまで」の練習チャンスも増える期間です。今日からできる小さな一歩を、3つだけ。

1つめは、すぐに裁判官にならないこと。危なくなければ、ひと呼吸おいて見守ってみてください。2つめは、両方の気持ちを言葉にすること。勝ち負けを決めるより、「そうか、貸したくなかったんだね」のひとことが、子どもの心の地図を描く手伝いになります。3つめは、仲直りできたらそこを認めること。「自分たちで解決できたね」の一言が、次のけんかを少しだけ上手にします。

そして、パパママ自身が疲れてしまわないことも、同じくらい大切です。きょうだい一人ひとりと落ち着いて向き合う時間をつくるために、周りの手を借りることは、決して手抜きではありません。

気がかりが続くときは、専門家に相談を

けんかの範囲を超えて、一方的に傷つける行動が続く、かみつきやたたきがなかなか減らない、など気がかりがあるときは、ひとりで抱え込まず、かかりつけの小児科医や、仙台市の子育て相談窓口、のびすくなどの専門家・専門機関にご相談ください。早めに相談することは、けっして大げさなことではありません。

Family Sitter の想い

Family Sitter 仙台のシッターは、お子さま一人ひとりの「聞いてほしい」に、1対1でゆっくり向き合える存在です。下の子のお世話で手一杯の日に、上の子との特別な時間をつくりたいとき。きょうだいそれぞれのペースを大切にしながら見守ってほしいとき。そんな毎日の場面で、仙台・宮城のご家庭にそっと寄り添います。「こんな頼み方もできる?」というご相談から、お気軽にお声がけください。

参考にした情報

  • Ruffman, T., Perner, J., Naito, M., Parkin, L., & Clements, W. A.(1998)「Older (but not younger) siblings facilitate false belief understanding」Developmental Psychology
  • Perner, J., Ruffman, T., & Leekam, S. R.(1994)「Theory of mind is contagious: You catch it from your sibs」Child Development
  • Dunn, J.「Sibling Relationships」(Blackwell Handbook of Childhood Social Development)/ Dunn, J.(1992)「Siblings and Development」Current Directions in Psychological Science
  • 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(2021年)結果の概要」
  • Frontiers in Psychology(2020)「A Reciprocal and Dynamic Development Model for the Effects of Siblings on Children’s Theory of Mind」

※本コラムは一般的な情報のご紹介です。お子さまの発達について気になることがある場合は、専門家にご相談ください。

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