「みんな」を見る目から、「ひとり」を見る目へ ― 園を離れた元保育士が、シッターで見つけたこと(仙台)
「みんな」を見る目から、「ひとり」を見る目へ ― 園を離れた元保育士が、シッターで見つけたこと(仙台)
「保育士の資格は持っています。でも、もう現場には戻れない気がして」
仙台のみなさん、こんにちは。Family Sitter 仙台です。
シッターのお仕事に関心を寄せてくださる方の中には、保育園や認定こども園で働いた経験をお持ちの方が少なくありません。そして、その多くが同じことをおっしゃいます。「ブランクが長すぎて」「体力的にもう無理かも」「あの働き方には戻れない」。
今日は、そんな迷いを持ちながらシッターを始めた先輩・ハルカさん(40代)にお話を聞きました。※以下のインタビューはイメージです。実際のスタッフの声をもとに構成しています。
ざっくりいうと
- 保育士資格は、園を離れても消えません
- 園とシッターは「同じ保育」ですが、目の使い方と時間の流れが違います
- 宮城県には、ブランクのある有資格者を支える公的な窓口があります
- 「園に戻る」でも「保育を辞める」でもない選び方があります
ハルカさんは、認可保育園に7年勤務し、3歳児クラスの担任も経験した方です。出産と転居が重なって退職し、そこから約5年、保育の現場からは離れていました。現在は Family Sitter で、週2日・1日4時間ほど働いています。
「上の子が小学校に上がって、少し時間ができて。でも、園のフルタイムに戻るのは家庭的にむずかしくて。かといって、まったく別の仕事に就くのも、なんだか寂しくて」
その”あいだ”にあったのが、シッターというお仕事でした。
「もう保育はできない」と思っていた5年間
「資格って、使わないと錆びる気がしていたんです。制度も変わっているだろうし、いまの子どもたちのことも分からないだろうし」
でも実際に現場へ戻ってみると、いちばん先に戻ってきたのは知識ではなく、体の記憶だったといいます。
「泣いている子の抱き方とか、目線の下げ方とか。頭で考える前に、体が動いたんですよね。あ、まだ残ってるんだ、と思いました」
ちがい① 目の使い方 ―「広角」から「望遠」へ
「園にいたころは、クラス全体をいつも視野に入れていました。誰かが転びそうになっていないか、けんかが始まりそうじゃないか、って。目がずっと”広角”なんです」
シッターの現場では、その目の使い方が変わります。
「1対1だと、目が”望遠”になるんです。この子がいま、何を見ているのか。どうしてこのブロックだけ並べたいのか。園では見えなかった細かいところが、見えるようになりました」
どちらが良い・悪いではありません。集団の中でこそ育つものもあれば、ひとりの時間だからこそ拾えるものもあります。
ちがい② 時間の流れ ― 決まった時間割から、その子の速度へ
「園は、時間が決まって流れていくんですよね。朝の会、おやつ、お昼寝。全体で動くから、待ってあげたくても待てない場面がありました」
シッターの時間は、そのお子さまの速度で流れます。
「靴下を自分で履きたい子がいたら、そのまま履かせてあげられる。あの日、玄関で10分待てたことが、いまでもうれしいんです」
ちがい③ 伝え方 ― 園の経験が、そのまま通じない場面も
ハルカさんは、正直な戸惑いも話してくださいました。
「よそのお家に上がるって、まったく別の緊張感があるんです。園では自分たちのルールでよかったけれど、ご家庭にはご家庭のやり方がある。おやつの与え方ひとつ取っても、確認しないと進められません」
そしてもうひとつが、伝え方でした。
「園なら連絡帳と口頭で伝えていたことを、シッターは限られた時間でご報告します。何を伝えて、何を後回しにしていいのか。最初は迷いました」
こうした部分は、研修と先輩のフォローで少しずつ整えていける部分です。園の経験は土台として大きく、足りないところは後から補えます。
学び直しの入り口は、宮城にもあります
保育士の資格を持ちながら現場を離れている方に向けて、宮城県は「宮城県保育士・保育所支援センター」(仙台市青葉区本町)を設けています。運営は一般社団法人 宮城県保育協議会です。
- 就職の相談(相談だけでも無料)
- 「宮城県保育士人材バンク」を通じた求人・求職の登録
- ブランクのある方・保育所勤務が未経験の方に向けた就職支援セミナー
シッターとして働くうえで保育士資格は必須ではありませんが、「もう一度きちんと学び直したい」という方には、こうした公的な窓口も心強い選択肢になります。Family Sitter への応募と、こうした窓口の利用は、どちらか一方を選ぶ必要はありません。
週2日・4時間という、いまの働き方(イメージ)
| 時間 | 過ごし方 |
|—|—|
| 9:00 | 子どもを送り出し、家の片づけ |
| 13:00 | お預かり開始。おやつ、公園、絵本 |
| 17:00 | 保護者さまへその日の様子をご報告 |
| 17:30 | 帰宅。夕飯の支度へ |
「フルタイムのころは、帰ってから家族に笑いかける余力がありませんでした。いまは、仕事の日でも夕飯を作れる。それがいちばん、続けられている理由かもしれません」
「戻る」でも「辞める」でもない、第三の選択肢
保育の現場を離れた理由は、人それぞれです。家庭の事情、体調、働き方への迷い。どれも、その時のご自身にとって必要な決断だったはずです。
だからこそ、選び方も一つではないと私たちは考えています。園に戻る道もあれば、まったく違う仕事を選ぶ道もある。そのあいだに、週1日から始められる1対1の保育という道もあります。
「保育を続けたい気持ちは残っているのに、いまの暮らしとかみ合わない」。そんな方に、いちばん合う形かもしれません。
資格をお持ちの方が、今日できる3つのこと
- 資格証を探してみる ― 保育士登録証、母子手帳、これまでの職務経歴。手元にあるものを確認するだけで、記憶が戻ってきます
- 働ける曜日と時間を、紙に書き出す ― 「毎日」でなくて大丈夫です。週1日・午後だけ、から始められます
- 話を聞くだけ、から始める ― Family Sitter へのご相談も、宮城県保育士・保育所支援センターへのご相談も、どちらも「聞くだけ」でかまいません
ブランクの長さは、私たちにとって減点材料ではありません。むしろ、離れていた時間に見てきた景色――ご自身の子育て、介護、別の仕事――は、ご家庭に伺うお仕事でそのまま生きてきます。
「まだ保育が好きかもしれない」。その気持ちが少しでも残っていたら、どうぞお声がけください。
参考にした情報
- 宮城県「宮城県保育士・保育所支援センター事業について」(就職相談・保育士人材バンク・就職支援セミナー等)
- 一般社団法人 宮城県保育協議会「宮城県保育士・保育所支援センター」(所在地・事業内容)
- 厚生労働省「令和4年版 厚生労働白書」図表1-2-62/1-2-64(保育士として就業した者が退職した理由、保育士の登録者数と従事者数の推移)
※制度の内容・相談窓口の受付状況は変わることがあります。最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。
※本文中のインタビューは、実際のスタッフの声をもとに構成したイメージです。
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